『なぜ住宅性能は極力高くするべきか』

前回までは断熱・気密・換気について、なぜ、予算が許す限り極力高いレベルを目指すべきか、採用した方が良い方向の理由を話してきました。

 

今回は、『Seismic performance耐震性』について、なぜ必要なのか、どのような考えをもって家づくりに臨むべきか、重要なポイントなど、話していきたいと思います。

 

前回までをまだ読まれていない方は是非、下記バックナンバーから順番に読んでみてください。

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なぜ住宅性能は極力高くするべきか(その5)

 

 

 

Seismic performance耐震性能 】

 

まず、昨今に限らず、日本は世界的に見ても地震大国であり、今を生きる私たちも過去何度もその被害や重大さはニュースやネット、中には現地で直接見てきたと思います。

 

そして、そういった被害を極力起こさないための一つの手段として、耐震性を確保するための様々な計算方法や、また、耐震等級というものがあります。

 

もうすでにご存じの方もいると思いますが、地震に対応する建物の構造種別としては大きなところで言うと

〇耐震構造 〇免震構造 〇制振(制震)構造 の4つがあります。

 

それぞれの特徴を簡単に説明すると

〇耐震構造

(メリット) 建物を固く頑丈にして、揺れても壊れにくくする。

(デメリット) 建物の高さが高くなるほど、形が複雑(間取り・立体的に)になったりすればするほど、太く、ゴツくなり、自重が重くなる、費用が増えていく。

繰り返し地震に対する構造的強さの減衰が指摘されている。

〇免震構造

(メリット) 建物と地盤を切り離す構造となるので、そもそもの地震の揺れを建物に伝わりにくくすることが可能。

(デメリット) 初期コストがかなり膨らむ。地表に見えていない部分の施工エリアが大きくなるので狭小地では要注意。中高層向き。

〇制振(制震)構造

(メリット) 建物内部で地震エネルギー(揺れ)を吸収することが可能になる。免震構造よりも価格が抑えられる。

(デメリット) 設置するバランスが重要であり、限界耐力計算や応答解析という上位の構造計算によってその検証をすることが重要。

制振ダンパーについては、そもそも木よりも硬さや柔軟さのあるRC造やS造(鋼構造)向けに開発された物であり、物性値的に硬さの比較的弱い木造には力の偏りが起こる可能性がある事にも注意。

外周部に取り付ける際は断熱材の断面欠損や熱橋にもなるので注意。

 

また、免震構造も制振構造も、耐震構造があっての構造という事にも注意してください。

メリットデメリットを細かく話すともっと出てくるのですが、簡単に言うとこんな感じです。

 

それぞれ良し悪しがあるのですが、木造住宅の構造を語るうえで絶対に欠かせない、木の最大の欠点である “めりこみ“ を考え、予算的な事を加味した場合、耐震構造+制振構造が最も現実的な組合せとなります。

 

固さを持つための耐震、繰り返し地震(余震や震度14程度の地震)によるめりこみ(釘や金物、ビスなどがガバガバになる)を防止するための制振というセットです。

 

制振は上記デメリットでも書いたような事に対策を講じる必要がありますが、またどこかで細かく書いていこうと思いますので今回は割愛します。

今回は耐震について深堀していきます。

 

 

【 Seismic design 耐震設計 】

 

ご存じの通り日本には耐震等級というものがあります。

耐震等級1 建築基準法上の最低限の耐震性

耐震等級2 耐震等級1の1.25倍の耐震性

耐震等級3 耐震等級1の1.5倍の耐震性

というもので、耐震等級3が一番強い基準となります。

 

ところが、耐震等級3は義務ではなく、耐震等級1でも家を建ててしまえるのが今の日本の法律です。

先に述べた通り、過去何度もその被害を目の当たりにして、悲しい思い、無念の思いをしてきた多くの人達がいるにもかかわらず、まだ、建てる人が選択することが出来る状況というのは、本当に残念です。

 

言わずもがな耐震等級3は必須でしょう。

ここに関して細かくは話しませんが、詳しく詳細を知りたいという方は別途お問い合わせください。

 

次にこの耐震等級3を取得するにあたって、2つ方法があるということをご存じでしょうか?

 

一つは品確法(仕様規定、壁量計算)による耐震等級3、もう一つは許容応力度計算(構造計算)による耐震等級3です。

この2つの方法で、どちらの方が優れている等の議論がここ数年でネット上で騒いでいるのを見かけますが、結論から言うと変則的な形や土地の高低差がある等、特殊な場合を除き、正直どちらでも良いです。

 

時々受ける質問で、「構造計算をするのが絶対ですよね?そうすれば安心ですよね?」と言われるのですが、そもそも木造住宅を検討されている皆様のほとんどが、

「構造計算=許容応力度計算」 と思っているのですが、構造計算の中にもランクのようなものがあり、

   許容応力度計算 ≦ ②保有水平耐力計算 ≦ ③限界耐力計算 ≦ ④応答解析

となります。

 

つまりは、家づくりにおいて多くの人がこれをやれば絶対安全と思っている構造計算(許容応力度計算)は、構造計算ランクの中では一番下あり、絶対ではありません。

 

前職で構造計算をやっていた時、許容応力度計算ですべてOKと出た結果が、②③④の上位計算ではNGが多く出ていたのを思い出します。

それは、もちろん取り扱っていた構造物の規模の違い等もあるのですが、そもそも許容応力度計算は一次設計(事前の検討)レベルで使う計算方法なので、二次設計(本設計)では基本的に上位計算手法で検討するのが当たり前なのです。

 

「じゃあ、一番上の④の応答解析をやれば絶対安心ですね!」と言われることもありますが、絶対は絶対にないです。

ただ、許容応力度計算と比べると、月とスッポンほどの差があり、かなり高いレベルの精度を誇り、確実性は高まります。

 

ですが、応答解析まで出来る人、その計算するソフトを持っている人はまず一般的な住宅の建設会社の中にはいないでしょう。

それだけ高価なソフトであり、高等技術を要するものだからです。

 

現実的には平屋・2階建て程度までで出来る計算手法としては許容応力度計算までなのでしょうが、よく注意しておいてほしい事として、Ratio(検定比)というものがあります。

 

詳細は割愛しますが、許容応力度計算とは、外力(自重や積載荷重、地震や暴風等)によって、構造躯体に生じる応力や変位(躯体内部に生じている力やズレ)が、許容できる範囲(もともと部材が持っている強度)以下で収まるように部材の配置や大きさを決めていくものです。

その比(Ratio)が1.0以上になる(許容範囲内になる)ことを目指していくものです。

 

ですが、その比は1.0だったらぴったりギリギリですし、1.05は経済設計ではあるけど少し心もとないですし、1.5だと過剰ですし... と、人によってバラつきがあるのです。

非住宅ではクライアントからRatioの指定があったりもするのですが、住宅においては説明がなかったり曖昧にしてしまっていることがあるようです。

また、比較的高さの低い住宅に一番影響するとされる地震荷重(地震による外力の算出方法や建物への荷重の設定の仕方)が、許容応力度計算では簡易的すぎるので、正直安心しきれるものではないと個人的には思うのです。

 

 

【 Structural design 構造計画 】

 

ちょっと過剰に聞こえてしまう事もあったかもしれませんが、決して許容御応力度計算が意味がないという訳でもなく、やらなくていいという訳でもないです。

 

他の計算手法や品確法、個人的にはどれでも良いと思うのですが、何よりも大切なことは、Structural design (構造計画)です。

いわゆる間取り計画の段階で、構造的バランスが取れた、建物に余計な負担がかかりにくい計画が出来ているか、耐震的要素(壁配置のバランスや、二階建てであれば直下率の算定等)がおさえられているか、偏芯率を考慮した計画が出来ているかどうか(出来ていないと地震時にねじれが生じる可能性があります)等、重要な要素をおさえながら、間取り計画と同時に最適な柱や梁、壁配置も考えられているかどうかが重要になるのです。

 

それらがきちんと網羅されていれば、構造計算にせよ壁量計算にせよ、建物にとって無理のない部材サイズや配置となります。

 

大元のココがしっかりできているかどうかが最も大切で、間取り計画をする上では、必ず構造計算の経験豊富な人が設計に携わることが大切だと思うのです。

 

 

 

 

 

本当はもっと細かく書きたかったのですが、あまりにも話が広がりすぎるので、後日小分けにしながら少しずつ詳しく話していきたいと思います。

兎にも角にも、耐震性について一番大切なのは『構造計画』ということを覚えていただければと思います。

 

次回はすでに何名かの方から質問問い合わせがあっている 建材や透湿、耐久性について話していきます。

お楽しみに。

 

 

早くにより詳しく知りたいという方は是非一度ご予約の上、私の話を聞いてみてください。

 

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